独自の強みで凌駕する。
DMS事業 早島地区
濱野隆史
Hamano Takashi
商品発送事業本部長
嶋村研二
Shimamura Kenji
東日本営業部 部長
西谷裕次
Nishitani Yuji
開発部 課長
柴田俊和
Shibata Toshikazu
ベネッセコーポレーションの物流・販促・受注支援で培った長年のノウハウを、今や様々な領域へと拡大。ジップは、一人ひとりのお客様にきめ細かなサービスを提供する「One to Oneマーケティング」を重要戦略に据える通信販売事業者や量販店などの支援も幅広く行っている。
新たなクライアントへの支援開始のきっかけは何なのか?そしてジップが目指す、感動を呼び起こすダイレクト・マーケティング・ソリューションとは?
ここでは一つの成功事例を題材に、営業、ITソリューション、そしてファクトリーセンターの三位一体の動きに焦点を当て、ジップの事業創造のプロセスを浮き彫りにする。独自の強みで競合をも凌駕する、ジップならではの事業ダイナミズムを感じていただけたら、と思います。
ベネッセコーポレーションの物流戦略を支える中で培ったノウハウは、汎用性があり、他の会社の物流支援にも応用できるという手応えを得ていたジップは、営業部隊が中心となって新規開拓アプローチを行い、着実にクライアントを増やしていった。
「おかげさまで商品発送やDM発送などの物流支援ならジップが良いという評判は広く浸透し、問い合わせをいただく機会が増えています。一本の問い合わせ電話がきっかけで、ビッグビジネスに発展するケースもあり、今では“提案のチャンスさえあれば、仕事になる!”という一つの成功パターンができつつあります」(嶋村)。
例えばある大手メーカーの通販事業ご担当者様からの問い合わせを起点にして、その後わずか2カ月半で物流支援体制を整え、稼働させた事例。
「最初の一報は、“評判を聞いてご連絡させていただきました”というものでした。早急な物流業務の改革を必要としていることがお電話から伝わりました。このファーストコンタクトにおいて“せっかくいただいたお電話を無駄にすることなく、事業拡大を支援したい!”と強く思いました」(西谷)。
いかに早くアポイントを取って会えるか、いかに頻度を上げてヒアリングができるかを最上位におき、東日本営業部の部長である西谷が、商品発送事業本部長の嶋村とともに動き、数日後には初会合の場へと赴いた。
「抱えている悩みや課題を聞きながら、その場でジップに何ができるか?現状の発送代行会社と比べてのジップのアドバンテージは何か?を考え、今までのものを超える“新たな商品発送スキーム”の提案1本に絞り、次回の会合でプレゼンテーションしよう!と決めました」(嶋村)。
プレゼンテーションは現状の発送代行会社を含むコンペとなり、しかも新物流体制稼働までの時間は限られ、一刻の猶予も許されない。短期間で準備をして、プレゼンの日を迎える。まず商品発送業務を受ける上での品質面、運用面、人財面、スペース等の基本的なことをベースとしてアピール。その上でそれらを実証するためにジップの実績を紹介した。
「将来の事業拡大に向けて、販促やBPOなど多彩な支援サービスメニューによっていかにジップが様々なメリットを創出できるかということも、提示しました」(西谷)。
さらには物流クライシスと呼ばれ、配送会社の総量規制、配送費高騰が社会的にも大きな問題となっている中で、受け入れの側面、コストの側面、配送品質の側面から最適配送スキームについても提案。伝えるべきことは全て伝え、プレゼン自体には大きな手応えを得ることができた。クライアントからも「極めて魅力的」との評価を得た。しかしながら、競合会社が物流における最大コストである配送費の大幅カットという策に出て、苦戦を強いられることに。ここで開発部の柴田が動く。
「通常なら受注が決まってから、私たちIT部門が動くのですが、今回は時間に限りがあったので、受注前にも関わらず、アクションを起こしました。要件定義のためのヒアリングを行う中で、現状の問題点を探り、その解決の方向性を提示。システム面からもフォローができるという安心感は与えられたと思います」(柴田)。
「最善の後方支援アクションだったかもしれません。同時に私たち営業もさらなる詳細なヒアリングによって、提案内容をブラッシュアップ。将来的な事業拡大を想定してのシナリオも提案しました」(嶋村)。
一方、ファクトリーセンターでの受け入れ態勢についても準備を開始。現場を統括する濱野が、態勢をイメージして、その作業プラン、人員プランを練り始める。
「365日動く現場を想定して、どうしたら最大パフォーマンスを発揮して、クライアントの要望に応えることができるかを考え、営業に伝えました。
一日の物量も大きく、商品も多種多様で、複雑な運用への対応が求められる案件でしたが、最良のプランを提示できたと思います」(濱野)。
そして程なく受注の報が届く。積み重ねてきたアプローチが実を結んだ歓喜の瞬間である。
「実は受注の吉報の前に一度、“申し訳ありませんが他の会社で”とお断りを受けたんです。でも、その後も足を運んで、ブラッシュアップ提案を続けました。今思えば、配送会社との連携によって物流クライシスを乗り越えられる、その裏づけをアピールできたことが受注の決め手になったのかもしれません」(西谷)。
「そうですね。でも、最終的にはジップの総合力と、ともに歩むことによって拓かれる未来に大きな魅力を感じてくれたのだと私は思います」(柴田)。
受注確定から物流支援体制の立ち上げまで、与えられた期間はわずか2カ月半。ここから怒涛の日々が始まる。営業部はスケジュール管理とスピード化の徹底を主導するとともに、確認会の定例化を実施。相互間の齟齬の払拭を図る。開発部は、システムの要件定義から設計、プログラミングを一気に進め、帳票類などの出力テストも同時に進める。ファクトリーセンターは安定的に現場を立ち上げるために何度もクライアントと打ち合わせを実施。重要な確認事項は全てQAシートに落とし込み、一つひとつクリアしていく。
「タイトスケジュールゆえ逆に集中力が高まり、その中で一体感が生まれ、皆のベクトルが一致して生まれた底力のようなものが、このプロジェクトを成功軌道へと導いている、そんな風に感じたのをはっきりと覚えています」(嶋村)。
「同感です。私も今振り返ると、とても良い時間を過ごせたと感じています。これからの成功のための礎を、この濃密な時間の中で築けたと思っています。」(西谷)。
「将来的な事業拡大を見込み、RDB(リレーショナルデータベース)に大容量を取り込めるキャパシティを確保。システムも将来的な機能拡張を想定しての設計にしています。そういう意味で、この案件は今後のジップにおけるITソリューションの未来モデルになったと思っています」(柴田)。
「立ち上げ前には、一連の商品仕分け、封入作業の流れを標準化。全員で作業手順についての勉強会を行い、作業品質を維持しながらのパフォーマンスアップの訓練も行いました。立ち上げ当初は不慣れゆえの苦労もありましたが、日々の出荷件数を定時内で高いクオリティで完遂できるようになり、上々のスタートとなりました」(濱野)。
受注、立ち上げまでのプロセスにも十分に感動のドラマがあったが、ジップが目指すのは物流・販促・受注支援の理想的なカタチの追求。そして送り手のクライアントのみならず、その先のお客様も含めて、様々な局面で感動を呼びこすことである。
「稼働後も、改善に次ぐ改善を繰り返し、絶えずソリューションの進化を目指すのがジップの基本スタンスです。大小様々な改善でクライアントからのさらなる評価を得ています」(柴田)。
「改善を通しての効率化提案の連続は、クライアントからの信頼をさらに高めているものと思います」(西谷)。
「ユニークなプロモーションDMの提案も始まっています。今後は販促支援を通じて、クライアントのOne to Oneマーケティングを戦略的にサポートする攻めのアプローチも行っていきます」(嶋村)。
「このクライアントの商品発送現場の改善は、ジップの改善成果発表大会において最優秀賞を獲得。また、クライアントによる現場視察において、ジップにして良かったとの声もいただきました。そうしたクライアントからの喜びや感謝の言葉は、現場社員のモチベーションアップにも繋がっています」(濱野)。